資料 キャリア構成カウンセリング:要約
Paul J. Hartung
Department of Family and Community Medicine
Northeast Ohio Medical University
Rootstown, OH
Based on a chapter in M. McMahon (Ed.) (2017). Career Counseling: Constructivist Approaches (2nd ed.). New York: Routledge.
“キャリアは、人々が従事するプロジェクトについて語るストーリーである”
M. L. Savickas (2013, p. 653)
キャリア構成理論とその実践 (Savickas, 2013)は、人間をストーリーを語る人と見なし、ライフキャリアは人間によって語られるストーリーと考える。キャリア構成カウンセリングは、ナラティブという手法を使う。その理由は、ライフ・ストーリーによって、時を経過して積み重ねれていく経験が結合され、その統一性や意図性が促進されて、仕事やその他の人生役割においてその人がどのような人であり、どのような人になるか、つまりアイデンティティが形成される(Savickas, 2011). キャリ構成は、ライフデザインを21世紀のキャリア理論とキャリア介入の新しいパラダイムである(Savickas, 2012; Savickas et al., 2009). ライフデザインは今までのキャリア開発理論を補完する。今までのキャリア開発理論は、20世紀のキャリア学と実践パラダイムである職業ガイダンス理論 (Holland, 1997; Parsons, 1909) と、キャリア開発 (Super, 1990)で成り立つ。キャリア構成理論は、人間生活や社会生活を意味あるものにするために、仕事とキャリアの多様性、固有性、目的性を強調する (Savickas et al., 2009). キャリア構成の理論は、職業行動理論を精緻化した理論 (Savickas, 2002, 2013)の基盤の上にあり、その実践はキャリアカウンセリングというシステム論の上にその基盤がある (Savickas, 2011, 2015).
キャリア構成理論
社会構成理論をその基盤として、キャリア構成理論は、職業心理学 (Holland, 1997), キャリア理論 (Super, 1990), ライフデザイン理論 (Savickas et al., 2009)を結合する。 そうすることで、それぞれの学問系統、すなわち、人―環境の適合によって強調される人の特性理論と、生涯発達によって強調される発達課題と、そしてナラティブで強調されるキャリアストーリーとしてのライフテーマを合体させる。こうすることによって、個人はそれぞれ、社会のアクター(actor)としての特性とワーク環境を適合させ、動機付けられたエイジェント(agent)として仕事を人生に適合させるレディネスを促進して、自己定義するナラティブを通して、自伝著作者として自己とキャリアを内省することで形成する (Savickas, 2011, 2013). キャリア構成理論は、カウンセリングをモデルとして、人々のキャリア形成を援助して、実践に移される。
キャリア構成カウンセリング
キャリア構成カウンセリングが含むのは、人間関係プロセスによって、キャリアストーリー構成を援助し、自己概念を仕事の役割に関連づけ、仕事を人生に適合させることであり、自己と仕事について語るナラティブを通して意味を形成することである。ナラティブ・パラダイムを使うキャリア構成カウンセリングは、キャリア構成するためのインタビューをすることから始める (CCI; Savickas, 2011). CCI は、一連の質問から成り立ち、マイクロストーリーを語ることを促進する。ライフ・ストーリーによって、カウンセラーとクライエントは、ライフポートレイトを共に著作する。ライフポートレイトには、クライエントが自伝的に語る中心的ライフテーマが含まれる。ライフポートレイトの作成によって、ライフテーマはクライエントの現在の問題と結びつく。カウンセラーとクライエントは、ライフポートレイトを使って、セルフはsライフキャリアを実践するよう促がされる。CCIの3つのキャリアカウンセリングのプロセス(マッチング、ガイダンス、カウンセリング)によって、ライフポートレイトの作成、そしてライフポートレイトを実践に移すことで、カウンセリングの目標とする、語る力(narratability)、適応力(adaptability)、意図性(intentionality)が増進する。語る力( Narratability)は、自己のライフ・ストーリーを一貫するものとして語る力を意味する。 意図性(Intentionality)は、目的をもって個人のライフ・キャリア・ストーリーを形成し、職業行動に意味を見出す能力を示す。
CCIは、ライフ・ストリーを語り、ライフテーマを表現するために使う。次に、現在直面している問題に関連づける、例えば進学や就職の選択肢やキャリア計画の作成など。
キャリア構成面接 |
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目的 |
質問 |
パート |
カウンセリングの目的; Sceneの設定 |
1.私は(カウンセラー)、あなたのキャリア構成をするためにどのようなお役にたてるでしょうか? |
ACT |
性格、特性、評判:Selfについての記述 |
2.あなたが成長する過程で、どのような人を尊敬して、好きでしたか? |
ACTOR |
表明されている興味関心;ワークのstageを示す。 |
3.あなたの好きな雑誌、テレビ番組、ウエッブサイトを教えてください。それのどこが好きですか? |
AGENT |
セルフを場に関連付けるライフプラン;Scriptの提供 |
4.あなたの現在好きなストーリーについて話してください。どのようなストーリーですか。 |
AUTHOR |
Solutionの提供 |
5. あなたの好きな格言あるいはモットーを教えてください。 |
ADVICE |
現在の問題についての視点Perspectiveの提供 |
6.あなたの幼いころの思い出を話してください。あたなたが3歳から6歳ころにどのようなことを起きたかの思い出について興味があります。 |
ARC |
Scene. クライエントのライフ・ストーリーの流れの中での現在の場面を設定。CCIは“私は、あなたがキャリアを構成するためにどのようなお役に立てますか?”という質問から始める。この質問への回答によって、クライエントのカウンセリング目標と現在の問題、そしてすでに心の中にある解決策が示される。
1. Self. ストーリーの主役であるクライエントの評判を設定する。第二番目の質問は、“あなたが成長する過程でどのような人を尊敬して、好きでしたか?? その人のことについて話してください”と問う。クライエントは、3人のロールモデルを説明しながら、自分を描き、どのような人であるか、どのような人になりたいか、現在の人生目標、そして主な人生問題についての解決策を語る。
2. Stage. 3番目の質問は、 “あなたの好きな雑誌、TV 番組、ウエブサイトはなんですか? それのどこが好きですか”と問う。これらのさまざまな環境において具体的に表明された興味関心は、 クライエントが主体的に行動する人間として、あるいは自己のキャリアストーリーのマネジャーとして自己概念を実践に移す可能性のある教育や職業の場を示唆する。
3. Script. 第4の質問で、主体的に行動するセルフを場面にリンクする。 “あなたの現在の好きな本や映画は何ですか?そのストーリーを教えてください.” このストーリーが選ばれた理由は、ストーリーのプロット(筋書)が、クライエントの現在の問題、捉われ、あるいは痛みに似たところがあるからである。その筋書によって、クライエントの自己概念や好むワーク環境はクライエントが著述するライフプランへと結合される。
4. Solution. 自己への忠告を顕現する。5番目に質問は、 “あなたの好きな格言やモットーはなんですか”と問う。 この回答によって、クライエントが問題に対処できる自分の内に存在する知恵や手引きが示される。
5. Perspective(視点) 現在の問題や中心となる心の捉われが明示される。最終の質問は、“あなたの幼児期の思い出のエピソードを教えてください? あなたが3歳から6歳、あるいはあなたが思い出すもっとも幼いころの出来事について3つのストーリーを聞いたいと思います” カウンセラーは、クライエントが現時点で思い出すことができる3つの幼いころの思い出を話すように促す。なぜならば、この質問によって、人生の主役としてのキャラクターを特徴づけている中心的なライフテーマやプロットの中に、クライエントの現在の転機が位置づけられるからである。
クライエントがCCI質問に答えながら、自己をどのように語り直すかをカウンセラーは注意深く聞き取り、フォローアップ質問をしながら、内省を促し、意味の明確化を促進する。カウンセラーとクライエントは、CCIの6つの質問すべての回答を使ってライフポートレイトを共同して作成する。
ライフキャリアポートレイト. CCIへの返答を使い、大きなナラティブであるライフポートレイトを形成する、それによって、より一貫した、継続性のある、明確に語られるキャリアストーリーが形成される。ライフキャリアポートレイトを構成することで、クライエントの問題の広がり(arc)、選択された解決策(actor)、好みの舞台(agent)、実践可能なスクリプト(author)、行動に移すプラン(advice)、を促進することができる。次に、クライアントのライフストリーリーを再構成する。これは、ナラティブアイデンティティを強める。こうすることで、クライエントのライフ・キャリアストリーリーを主導するキャラクターとしてクライエントの人物が強調される。また、ワークの世界の中のどの場所にいると自分らしくいられるか、そして、実際のワーク場面にクライエント自身を結合させる確信を明確にできる。キャリアストーリーの内省を進めることで、目標を設定して、次のライフ・キャリア実現に向かって進む行動を促す。
行動. CCIから収集したのマイクロストーリーから、中核となる問題、あるいは捉われ、動機、目標、適応行動、自己観についてのテーマとパターンを形成した後に、行動へと注目が移る。ここですることは、成功への方式を構成して、ストーリーを行動に移すための現実可能な計画を立てることである。この計画に必要なことは、ストーリーを内省し、語り、そして実践することである。キャリアストーリーについて内省することで、ライフ・キャリアの次の章立てへの目標設定へと進む。続いて、カウンセラーは、カウンセリング場面の外での、クライエントが大切にしている社会関係の中で、大切な人間関係にあるいわゆる〈観衆〉なる人たちに自己ストーリーを語るように促す。カウンセリングプロセスによって生じたキャリアストーリーや結論を、大切な人間関係の中で語りストーリーをもっとリアルで明確なものにして、そのストーリーに即して実際に生きる自信を促す。大切な人間関係にある観衆とは、一般的には家族、友人、メンター、コーチ、教師を含む。特定な行動目標に向かいストーリーを実践するためには、さらなる探求、献身、そして目標達成が必要となる。
結論
キャリア構成カウンセリングは、個人が、どのような人であり、どこのワーク世界にいたいか、好きな職業に自己を結合させるために何が必要であるかに関連する自分のキャリアストーリーを語り、聞き取り、実行に移す援助をする。キャリア計画と実践を成功させるために、内省的な自伝的推論を必要とする。ナラティブという手法で、それぞれの個人のキャリア実現を探求することで、ワークとキャリアに関連する個人としての深い意味付けが可能になる。キャリア構成の理論と実践は、ライフ・キャリア・ストーリーの理解と形成を援助する総合アプローチを提供する。
参考文献
Holland, J. L. (1997). Making vocational choices (3rd ed.). Odessa, FL: Psychological Assessment Resources.
Parsons, F. (1909). Choosing a vocation. Boston: Houghton Mifflin.
Savickas, M. L. (2002). Career construction: A developmental theory of vocational behavior. In D. Brown (Ed.),
Career choice and development (4th edition) (pp. 149-205). San Francisco, CA: Jossey-Bass.
Savickas, M. L. (2011). Career counseling. Washington, D. C.: American Psychological Association Books, Inc.
Savickas, M. L. (2012). Life design: A paradigm for career intervention in the 21st century. Journal of Counseling and Development, 90, 13-19.
Savickas, M. L. (2013). The theory and practice of career construction. In S. Brown, & R. Lent (Eds.) Career development and counseling: Putting theory and research to work (2nd ed. pp. 147-183). New York: John Wiley.
Savickas, M. L. (2015). Life design counseling manual. Kent, OH: www.vocopher.com.
Savickas, M. L., Nota, L., Rossier, J., Dauwalder, J., Duarte, M. E., Guichard, J., Soresi, S., Van Esbroeck, R., & van Vianen, A. E. M. (2009). Life designing: A paradigm for career construction in the 21st century. Journal of Vocational Behavior, 75, 239-250. doi:10.1016/j.jvb.2009.04.004
Super, D. E. (1990). A life-span, life-space approach to career development. In D. Brown & L.Brooks (Eds.), Career choice and development: Applying contemporary theories to practice (2nd ed., pp. 197-261). San Francisco, CA: Jossey-Bass.
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